人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ILCがこの辺に来ることで

今年8月に北上山地に国内候補を選定したILC(国際リニアコライダー)。
新聞でもかなり取り上げられていたと思うのですが、意外にもそのことを意識している人は少ないなぁ…と思う今日この頃。少なくても、この辺では。
ILCの最高責任者、リン・エバンス氏は「北上山地は世界で唯一の候補地だ」と明言したそうですが、立地条件が良くても住民の意識が低いのが問題。否定的な考えを持つ県民も多い。
まぁ、そうは言っても私もこの類のものには興味はあるとは言えませんが、"Da Vinci Code" 『ダヴィンチコード』で有名になった原作者Dan Brown(ダン・ブラウン氏)のもう一つの作品で映画化された、"Angels and Demons" 『天使と悪魔』ではスイスのジュネーヴにあるCERN(Conseil Européen pour la Recherche Nucléaire)が取り上げられてました。映画ではそれほど詳しく取り上げられてはいませんでしたが、本ではまぁまぁそこそこの情報が取り上げられており… それでも科学的・物理的なものに対して蕁麻疹が出るほど嫌な私には全く興味の無い事。このチャプターを読むのは苦痛だったなぁ。でも、あの本を読んでちょっぴりこの類の知識が持てたのは確か。

さてさて、何故このようなことを取り上げたかと言うと、

数千人とも言われる研究者に加え家族などが居住する国際学術都市が形成され、世界最先端の研究成果が東北地方から生み出され、東北は国際的な頭脳拠点、科学技術の発信拠点となる。
世界中の多くの研究者や技術者による国際的な研究交流が展開され、これら世界の頭脳との交流や科学教育によって、青少年の科学への興味や一般の方々の知的好奇心が高まるほか、東北から次世代の科学者や技術者が育成され、日本や世界の科学技術の振興、国際社会への貢献が可能となる。
我が国の生きる道は科学技術にある。科学技術に不信感などが出ているこの時期にこそ、国際社会や国民に向けて「新しい時代を築く科学技術の一大プロジェクトに取組む」というメッセージを発することが望まれる。』
と発表されていたから。

なるほど。でも、調べてみればみるほど批判的な意見も多い。この復興事業にお金が必要な時期に、億単位ではない兆単位のお金が掛かる一大事業をすることに対する懸念と危機感を感じている科学者や物理学者、経済学者がとても多い。そうか、期待ばかりを掲げているわけにもいかない状況なのか。2020年に東京オリンピックが決まった時、正直どうなの?って思ったけど、これが決まったことで東北も少なからずとも恩恵を受けるのかなって思うし、否定的になり過ぎるのもちょっぴり寂しい。私はスポーツ人間ではないけど、世界各国から選手や関係者たちが集まり、観光がてらに応援しに来る人たちもいるだろうと思うとワクワクする。スポーツよりも国際的な変化の方に期待してしまう。

色々な意見がある中で、8月に正式に北上山地のILC招致が決まった事は確か。あるドイツ在住の日本人研究員は、

『リニアコライダーが岩手県の北上山地に建設されると様々な経済効果などもあると思います。もしかしたら様々な弊害もあると思います。それはもちろん承知していますし、それは大人がしっかりと解決をしていかないといけないと思います。リニアコライダー計画は東北地方の子供たち、特に被災をされた地域の子供たちには利点はあっても害は殆どないと考えている。研究学園都市なども建設されるはずです。東北地方の教育というのが大きく変わるきっかけになると思っています。そして今頑張っている東北地方にもっと世界の目が届くようになります。被災に対しての風化も世界的なレベルで食い止めることができます。世界の東北地方になると思っています。』

と仰ってます。

多額の税金が使われることに懸念を持つのは頷ける。でも、まだまだスポーツばかりが重要視されて、スポーツが出来る子ばかりがチヤホヤされているこの辺の子供たちの現状を見ると、スポーツが苦手でも科学的才能や言語的才能を持つ子供たちにスポットライトが当てられる時代が来るなら、喜ばしいことじゃないかな、とも思える。
しかも、研究員やその家族が移って来るとなると、環境は変わるはず。日本に来るなら日本語を勉強してくるべき、とも思うことはあるけれど、家族全員で移住する人達にとっては最初から日本語ペラペラなんて期待できないから、英語を話せる人材が求められるだろうし。その時に私の生徒たちの中の誰か一人でもお手伝い出来るくらいの英語力を持っていてほしい。

何をやるにも否定的見識を持つ人はどこにでもいる。英語教育に対してもそう。はっきり言って、この地域の英語教育に対する意識はかなり低い。大人の意識が低ければ、当然子供たちの意識も低い。別に英語なんて出来なくたって生きていけるし困らないからね。でも、困らないから別に…って言っている人に限って、出来る人を妬んだり羨んだりしている。そんな感情を抱く暇があるなら意識を変えて出来るだけのことをやったらいいのに。

保護者面談をしながら、そして様々な研修に参加しながら有識者たちの意見を聴いては勉強する日々だけど、最近はあまりの意識の低さに辟易としてしまう。もう、正直この地域での限界を感じることさえあるけど、一方では意識の高い保護者の方々や生徒たち、そして学校関係者と話をすると、子供たちの未来をしっかり考えていることがヒシヒシと伝わってきてまた勇気づけられる。先日、『先生に助けられている人たちもいます』と言われた時は泣きそうになった。絶望しては希望を持って、そしてまた裏切られては絶望感を感じて。この土地特有の意識なんだろうと思うな… 東京や神戸、広島で教師・講師をする友人たちは私ほどの絶望感を感じていない。

あ~あ、やっぱり熱意があっても伝わらないのよね~ 他の教室の先生たちと話していても、ここまで考えている人たちはほんの一握りだし、結局利益優先の塾社会。そりゃ利益もなければ私たちも生きてはいけないけど、そればかりで薄っぺらい講師にはなりたくないのよね。子供たちが夢を持てる指導をしていきたい、って本気に思ってるんだけど。それなら無償でやってくれって言われたこともあるけれど、それはそれで図々しいじゃない? 私はボランティアをしてまで、私が必死に得てきた英語能力を他人にばら撒きたいとも思っていない。

2013年も色々あったけど、文科省が発表した『グローバル化に対応した英語教育改革実施計画』を読んで愕然とした。以前だったら、「おー、凄い凄い。楽しみ★」だったのに、「え… 本当に?」が正直なところ。でも、私を含め講師たちが低い意識を持っていたら何にもならないと思うので、前向きに捉えて頑張るしかないけど。

是非、小学校低学年のお子様をお持ちの親御さんたちには、一度この英語教育改革実施計画を読んで頂きたいと思います。だって、事実、そのような改革をするらしいので。

by ecc_nagai | 2013-12-28 21:10 | English:英語