Chagall

今日は、やっと一人の時間が取れたので、前から行きたかったChagallの版画展を見に行って来ました。

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本当に素晴らしかった。余計な感想はいらない。ただただ、感動のひと時。
やはり、美術館には一人で行くに尽きる! ゆっくり、じっくり、自分のペースで観賞出来る幸せを感じながら。
最初は白黒のetching and drypointでしたが、それがとても印象的で・・・
Chagallと言えば、勝手な思い込みですが、東欧系ユダヤ人として迫害を受けた芸術家として暗い過去を背負っているのに、花や楽器などが描かれていたり、華やかさも備えていると思うのですが、やはり暗い過去は芸術に現れるのですね。
最初の白黒のetching and drypointを見て、泣きそうになりました。何故だろう・・・
悲しさとは違う、苦しさかな。タイトルは"Mein Leben" 『わが生涯』

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シンプルな描写なのかもしれないけど、凄く深い。何とも言えない。この後にはカラフルな(あまり好きな表現ではないけど)lithographの"Daphnis et Chloé" 『ダフニスとクロエ』"L’Odyssée" 『オデュッセイア』 もありましたが(もちろん、それらも全て素晴らしかった!!!)、やはり最初の白黒のetching and drypointが忘れられない。


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美術館に一人で行くときはWALKMANを持って行って、その画家の時代の同国出身の音楽家の曲を聴きながら鑑賞するのが好きな私。変かしら? なので今回も19世紀のロシア人作曲家とフランス人作曲家、そしてユダヤ人作曲家の曲を聴きながら鑑賞してきました。
だからかな・・・ 泣けた。
ユダヤのものには弱い。映画も音楽も、美術も、涙無しには鑑賞出来ない。

遠い、遠い、夢の中の話・・・

幼少期、何故か私は夢の中で外国に住んでいて、しかも白人っぽいんだけど無理やり両親(だと思う。見たことの無い人たちだけど、両親だと思って疑わなかったし。)と引き離されて、どこか暗い闇に連れて行かれて、挙句の果てに銃殺された嫌な夢を何度も見た。本当に何度も何度も、同じ夢。しかもいつも白黒。色の無い世界。
後に映画『シンドラーのリスト』やナチスドイツによるユダヤ人迫害の映画を見て、吐き気がするほど苦しくなったのを覚えている。実際、吐いたけど(汚くてすみませんっ)。今でもあの類の映画は苦手だなぁ。

あれは一体何だったんだろう・・・
もし、本当に人間の魂が輪廻転生を経て様々な人生を生きるなら・・・
よく、『前世』とか『過去世』とかいう言葉を使う霊能者の話が本当なら・・・
もし、ユダヤ人として迫害を受けた人生を過ごしたことがあるのなら・・・

色々な事を考えながら、全作品を時間を掛けてゆっくり観てきました。
もの凄いdéjà-vu(デジャヴ)を感じた。決して嬉しくはない、何とも言えない感情。

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日本に帰国したばかりの時、市内のデパートでChagall展があった。その時、どうしても見たくて行ったけど、直筆のポストカードサイズのChagallの絵が5万円ほどで売られていた。欲しかったけど、まだ仕事も無い時。買えるわけがない・・・ 欲しくて欲しくて、でも買えないからひたすらそのChagallの絵の前でボーっとしていた。その時の女性curatorが「例え小さくても、本物を持ちなさい」と言ってくれた。わかってるわよ・・・ 当時は帰国したばかりでお金も無かったから、買えるわけがなかった。今なら、喉から手が出るほど欲しいけど。

よく、この女性curatorの言葉を思い出す・・・ 

美術館が好きなら、好きな画家の展覧会に行く機会があるなら、絶対に一人で行った方が良いです。自分なりの解釈が出来るし、いちいち「あれが良かった、これが良かった」と一緒に行った相手と話す必要もない。私は音楽鑑賞も、どちらかと言えば一人でしたい方。人間は皆違う感性を持っていて当然。自分のペースで自分の感性のまま鑑賞するに尽きる。絶対に・・・ 話し相手がいるのはいいかもしれないけど、自分の感じた感動は別に人と共有しなくてもいい時があるって思う。その時に感じた鮮やかな感動を他人とshareする事すら惜しい時がある・・・ ダメかな?

本当、何とも言えない、素晴らしい展覧会でした。もの凄く苦しい感情も残っているけど。

by ecc_nagai | 2013-05-01 21:47 | Art:芸術