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つるし雛

先日、ふと用事を思い出して、伯母の家に行った時・・・

やっていましたよ、つるし雛作り。
 
つるし雛_a0136626_13443339.jpg


盛岡市鉈屋町の町屋手芸サロン「ぴっぴ」で講師をしている伯母。
今年ももちろん、つるし雛の展示会があるそうです。

このつるし雛って伊豆稲取地区で今日まで伝承された地域限定の伝統工芸だそうで、今では全国に広まった芸術ですね。
私はこのつるし雛の存在をあまり知らなかったのですが、調べてみるととても奥深いです。
日本の伝統文化は何でも奥深いと思うのですが・・・

さて、この稲取地区のお話によると、江戸時代においては雛飾りを購入できるような裕福な家庭はまれで、せめて雛飾りの代わりに、愛する子供や孫の為に手作りの雛飾りで初節句を祝おうという、切ない親心から生まれたのが稲取の雛のつるし飾りまつりの発祥の由来と伝えられています。
つるし飾りは、子供が成長し7歳→成人→嫁入りといった節目を迎えると、新年のどんど焼きに焚きあげてしまうため、古いものはあまり残っていないそうです。平成に入って稲取の婦人会の手芸講座にてツルシ製作を通じて見直され、「雛のつるし飾り」の名称をつけられたとか。でも、つるしの漢字表記「吊るし」は、縁起物には不適当なため推奨されないそうです。

なるほどね・・・やはり奥が深い。
ちなみに、九州の福岡では「さげもん」、山形の酒田市では「傘福」という名称で、この3つが日本三大手芸とされているそうです。

つるされる飾りにはそれぞれに意味があって、
つるし雛_a0136626_141550100.jpg「もも」は邪気をはらい、延命長寿の意味が。実が多く多産の象徴も。



つるし雛_a0136626_14183330.jpg「這い子人形」はハイハイの多い子は丈夫に育つので健やかな成長を願う母心を意味する。

                            

 とか、

つるし雛_a0136626_14194684.jpg 赤い目の「うさぎ」は呪力があり、病気を治すと信じられていました。神様のお使いとも。



などなど、100個以上の飾りがあって、それぞれにいわれがある・・・願う事柄をお飾りの形に託して飾る・・・ 母の、子の幸せと健康を願う想いはとても深いですね。
今よりもちろん科学や医学の発達のない時代だからこそ生まれた文化なんでしょう。
お金さえあれば何でも手に入るこの時代に、このような伝統工芸が生まれて来るなんて事、あるのかしら…?
ちょっと考えさせられました。

by ecc_nagai | 2010-01-26 14:35 | Art:芸術