人気ブログランキング | 話題のタグを見る

Goldberg Variations

"Goldberg Variations" (『ゴルトベルク変奏曲』)は、J.S.Bachにより作曲された、アリアと様々の変奏曲からなる2段の手鍵盤のチェンバロのための練習曲です。

Goldberg Variations_a0136626_15314814.jpg


アリアはサラバンド風の美しい曲。

Goldberg Variations_a0136626_15273281.png


その曲のベースコードをもとに30曲の変奏曲が続き、最後はまたアリアで締めくくる大曲。repeat(繰り返し)をすると約1時間10~30分かかります。演奏家によりテンポが変わるのは当然です。

様々な演奏家たちがこの曲を録音しております。その中でも最も評価の高いものと言えば・・・
やはり、Glenn Gould (グレン・グールド)によるもの。彼は2回この曲をレコーディングし、2回目のレコーディング終了から1年後にこの世を去ったことでも有名です。彼の演奏と解釈は賛否両論を巻き起こしましたが、これほどまでに芸術を極めた演奏家はいないのではと思います。何を言われても叩かれても、自分の解釈を崩さなかった人。かなりエキセントリックな演奏家ですが、それでも素晴らしい演奏です。



私はどうしてもMurray Perahia (マレー・ペライア)の演奏が好きです。実際、San Diegoで彼の演奏会に行きましたが、終始感動の演奏でした。この時はMozartとBachのピアノコンチェルトを演奏していましたが、Perahiaのこの曲の解釈もとても深い。ラジオに出演した時のこの曲に対する解釈を聞き、よりファンになってしまいました。



その他にも数々のCDが発売されております。同じ曲とは言え、演奏家により解釈が違うのは当たり前。だからこそ、聴き比べると面白い。もはや、比較してどちらが好きかどうかの問題では無いです。

もしこの曲が気に入って、でもどの演奏家のCDを購入しようか迷った時・・・絶対に間違いないのはMurray Perahiaバージョン。この曲を深く別の視点から聴く余裕が出来たらGouldバージョン。その方が絶対に後悔しないと思います。Gouldに慣れない人は、彼のエキセントリックさに違和感や不快感を覚えるようなので・・・

どちらともAmazonで購入できます。






実はこの曲、『アリアと種々の変奏』と題されていますが、Bachの教え子であるJohann Gotlieb Goldberg (ヨハン・ゴットリープ・ゴルドベルク)が不眠症に悩むカイザーリンク伯爵のためにこの曲を演奏したという逸話から『ゴルドベルク変奏曲』の俗称で知られています。ただ、演奏には高度なテクニックが必要。かなり難しいパッセージがあります。当時Goldbergは14歳の少年だったことなどから、この逸話については懐疑的な見方が多い・・・ 現代では、14歳でもかなり高難度の曲を弾く子供は世界中にいますし珍しくもないのですが、当時はどうだったのか・・・ 18世紀はショパンもリストもラフマニノフも生まれていなかったわけだし、現代のピアノはまだ確立されていませんでしたからね。誰にもわかりません。大体にして、この曲を聴いて不眠症が解消されるのか・・・疑問です。

全曲がト調ベース。ほとんどがアリアと同じト長調ですが、時にト短調の変奏曲もあります。
中でも注目されるのは3曲ごとに配された9つの"Canon" 『カノン』。このcanonを区切りとして、変奏は3つずつのゆるやかなグループを成していて、最終変奏のみcanonではなく "Quodlibet" 『クオドリベット』(当時のドイツの流行歌)が置かれているのも面白い。また、第16変奏は特に"Overture" 『序曲』と付され、全体が前半15変奏と後半15変奏に対比されていることもわかっております。この"Overture" を聴くと、「あぁ、後半だな・・・」といつも思います。

Goldberg Variations_a0136626_1610930.png


音楽理論っぽくなってしまいました。

ここ数日間、色々ありました。この曲を再度勉強し直すことで精神を安定できたと思います。

by ecc_nagai | 2012-02-28 15:10 | Piano:ピアノ